有期労働契約(締結・更新)

2017年1月

解雇とは、使用者側の一方的な意思表示による労働契約の解除のこと。
この契約解除には労働者側の合意は無いものです。
解雇は、労働者の不利益は大きく、突然の労働契約一方的解除においては法律により制限されています。

「派遣切り」、という言葉も聞きます。派遣契約による派遣期間の一方的終了を一般には意味します。
有期雇用労働者での雇用問題の一部です。

企業の募集に直接応じ、有期労働契約を締結した場合、契約期間満了時に使用者からの意思表示で契約の更新をしないのは、「雇い止め」というと思います。
契約の当事者を労働基準法では労働者・使用者と呼びますが、労働者からの意思表示でなく、使用者からの意思表示の場合で、雇用契約の終了の場合、「解雇」と「雇い止め」は本来異なる解約処分です。

しかしながら労働者からすると突然の契約解除は賃金受領制限となり、大きなダメージにも。

無期雇用契約労働者への解雇に関しては、民法を修正する形で労働基準法により制限規定が置かれます。

有期雇用契約労働者は、契約期間に労働の拘束を受けるのが一般。あまりの長期身分拘束を抑制する意味から労働基準法では期間上限を規定しつつ、一方的な雇い止めについて歯止めを掛けています。

雇止めでの労使間トラブルをめぐり、有期労働契約に関し、労働基準法第14条2項により「有期労働契約の締結、更新及び雇止めに関する基準」を策定し行政指導の対象となっています。
契約の締結時には契約期間終了時での、①更新の有無、②更新判断の基準、③書面により明示する必要が。

 

「有期労働契約の締結、更新及び雇止めに関する基準」 : 厚生労働省より
https://www.mhlw.go.jp/houdou/2008/12/dl/h1209-1f.pdf

 

就職の場面において、無期労働契約か期間の定めがある(有期)労働契約か、また有期労働契約の場合の更新の有無などは、言った言わないなどのトラブル防止の観点から、労働契約締結時には注意します。

労働条件の明示については労働基準法で「労働契約の期間」が絶対明示事項となり、書面の交付が必要。明示された労働条件が事実と異なる場合には、労働者は即時に契約解除が可能とされます。

 

労働基準法第14条(契約期間等)

第14条 労働契約は、期間の定めのないものを除き、一定の事業の完了に必要な期間を定めるもののほかは、3年(次の各号のいずれかに該当する労働契約にあつては、5年)を超える期間について締結してはならない。

一 専門的な知識、技術又は経験(以下この号及び第41条の2第1項第1号において「専門的知識等」という。)であつて高度のものとして厚生労働大臣が定める基準に該当する専門的知識等を有する労働者(当該高度の専門的知識等を必要とする業務に就く者に限る。)との間に締結される労働契約

二 満60歳以上の労働者との間に締結される労働契約(前号に掲げる労働契約を除く。)

2 厚生労働大臣は、期間の定めのある労働契約の締結時及び当該労働契約の期間の満了時において労働者と使用者との間に紛争が生ずることを未然に防止するため、使用者が講ずべき労働契約の期間の満了に係る通知に関する事項その他必要な事項についての基準を定めることができる。

3 行政官庁は、前項の基準に関し、期間の定めのある労働契約を締結する使用者に対し、必要な助言及び指導を行うことができる。

 

シマムラ社労士事務所 嶋村徹